ディスクリートオペアンプの回路シミュレーション

はじめまして、Ynicoioです。

オーディオ回路やアナログ回路を主に勉強しています。

 

初めてのブログはオペアンプディスクリート回路をシミュレーションしていきます。

 

早速ですが回路を載せます。

アナログデバイセズの高価格帯オペアンプによく採用されている一段ゲイン増幅回路を

自分なりに解釈・設計したものです。

電源に±15Vを使っていますが、シミュレーション上では±3Vから動作します。

 

初段に高hFeトランジスタを使い、初段のゲインを上げています。Q5+Q6+Q15でカレントミラー式電圧電流変換を行い、Q7+Q8で定電流を構成しカレントミラーによって100dB近くまで信号を増幅します。

終段にはダイヤモンドバッファとインバーテッドダーリンを使用しますが、ポイントは定電流回路です。この回路ではQ11とQ12が担当していますが、これらがないとバッファのゲインが低下し、オペアンプ全体の歪が悪化したりスルーレートが遅くなったりします。

 

位相補償にはC1+C3で構成しています。C1は周波数帯域を減らす、C3は位相を持ち上げる役割です。

濃い方がゲイン、薄い方が位相です。

0dBで13°稼げています。供給電圧が下がるとゲインも下がりさらに位相余裕は増えますし、C1を増やすことでも対応できます。GBWは10MHz以上なのでオーディオ用途にも十分です。

 

この回路の欠点は立ち下がりスルーレートが極端に遅いことです。立ち上がりが100V/usほど出るのに対し、立ち下がりは1~3V/usです。これにはゲイン段のカレントミラーのhFeが足りないことが挙げられます。2N3906を使用していますが、ここに周波数特性のよい高hFeのTrを使うことをお勧めします。

 

直流ゲインはぴったり100dB、競合はADA4898になるでしょうか。回路は違えど同じ一段ゲイン増幅回路ですからね。

 

これは1kHzサイン波の歪率です。2Vp-p、Rl=2kΩ、G=+1、Vs=±15Vです。

ローパスフィルタを入れていないので高域が大変なことになっていますが、1MHzまで全帯域で-160dB以下です。信号ゲインは-2dBほどなので、THDの計算式にならい計算すると、-169.59dB(0.00000035%)です。非常に低歪率ですね。市販のオペアンプはたいてい-140dBが限界ですから、シミュレーションがどれほど正確かわかりませんがそうとうな性能を持っていることがわかります。

ちなみに、初段に約3mA流しているので入力TrのIbは1.6uAと大きく、何かしらの対策が必要だと考えられます。