2(または3)段ゲインオペアンプをシミュレーション

2(または3)段ゲインオペアンプをシミュレーション+解析します。

まずは回路を示します。

 

 

NPN入力、SEPPもどきバッファです。

Q1、Q2はI1とI2に電流を流し、約0.6V(Q1、Q2のVbe)ほど中点電圧の下がったバッファです。Q7、Q8はバッファされた電圧をカレントミラーで40dBほど増幅します。gmによって変動しますが、だいたいそのくらいです。

Q5、Q6はQ7、Q8に電流を供給しますが、ここは定電流でも構いません。ただし、ここが定電流だとOP42みたいな回路構成になり、ゲインがものすごく低下します。もしかしたら動かないかもしれません。

そこで、Q7Q8のゲインをさらに高めるため、Q3+Q5、Q4+Q6でカレントミラーを構成してQ1Q2のIcを流してやります。これだけでゲインも稼げるのでお得です。

Q1~Q8で一段または二段です。これは全体でみれば一段ですが、細かいところでみると上下で増幅しているので二段ともいえるからです。私はこれを平面増幅段と名付けました。

Ic(Q1)=Ic(Q3)=Ic(Q5)=(I1)/2

Ic(Q2)=Ic(Q4)=Ic(Q6)=(I2)/2

が成り立ち、Q1+2、Q3+5、Q4+6のHfeがそろったとき、非常に高い対称性が発揮されます。

 

Q9はただのエミッタ接地です。ダーリントンにしてゲインを稼ぐのもいいですが、ノイズの観点から一段です(平面増幅段がほぼノイズの塊)。また、ダーリントンにせずとも120dBほど直流ゲインを稼げるため、あまり関係ないというのもあります。

 

Q10~Q12はほぼOP42のバッファと同じです。ダイオードを2つ使うものとほぼ同じです。

 

シミュレーション結果です。

スルーレートは40V/us程度でしょうか。過渡応答がまあまあ汚い気もします。

ゲイン特性です。10mHzは110dBほどでした。使っているTrモデルがお粗末なのであまり信用なりませんが、GBWは660MHzまで伸びています。位相補償は1.5pFなので、安定性はばっちりです。

入力換算ノイズは2.6nV/sqrtHzです。ADA4075-2より少し小さいくらいです。

 

まとめ

現代のオペアンプはほぼシーソー型の初段を採用しています。そのうち半数はカレントミラーを負荷にして初段でゲインを稼ぎ、片側増幅で巨大なゲインを稼ぐという構成がですよね。精度を気にせず特性が出せるのが魅力ですが、平面増幅段なら4つデュアルトランジスタを使えば精度もおのずと出ます。そうすれば8石+定電流で済みます。速度も安定度も圧倒的ですから、結構いいものができたんじゃないかと思います。